2021年2月15日
妊娠計画中またはその可能性のある方は、先天異常である神経管閉鎖障害の発生リスクを低くするため、
a) 妊娠前から、b) 1日400μg(=0.4mg)の葉酸サプリメントを摂取しましょう。
神経管閉鎖障害は妊娠のごく初期(受精後4週ごろまたは妊娠6週ごろ)に発症して、胎児の脳・脊髄などに異常が現れる先天異常の1つです。その代表的疾患は、開放性二分脊椎=脊髄髄膜瘤と無脳症です。
妊娠前から1日400μgの葉酸サプリメントを摂取すると、これらの疾患の発生リスクを約半分に減らせることが知られています。一方、皆さんが食事内容にどれだけ留意しても、葉酸サプリメント400μgに相当する量の葉酸を食事から摂取することは極めて困難です。したがって、神経管閉鎖障害は妊娠の早い時期に発症するため、その予防には妊娠前からサプリメントによる積極的な葉酸摂取が必要です。
ただし、脊髄脂肪腫などの潜在性二分脊椎に対する葉酸の効果は証明されていません。また、神経管閉鎖障害の発生には色々な要因が関与するため、葉酸不足だけがその原因ではありません。過度の葉酸摂取は不要ですが、抗てんかん薬の一部の薬剤を内服中の方や神経管閉鎖障害のお子様を以前に妊娠された経験のある方は、神経管閉鎖障害の発生リスクが高まりますので、さらに増量した葉酸摂取が必要です。是非とも、妊娠を計画中の方はかかりつけの医師に御相談ください。
葉酸サプリメントを摂取することは、神経管閉鎖障害の発生リスクを低くすることに有用です。妊娠計画中の方あるいは妊娠する可能性のある方は、是非、葉酸サプリメントを日頃から摂取してください。